新卒という言葉の意味だけでなく、既卒との違いやメリット・デメリットにも触れて解説しました。
新卒の意味
一般的に新卒とは、学校を新たに卒業した人、あるは新規の卒業のことを指す略語です。
ここで言う学校とは、主に大学、短大、専門学校、高校ですが、中学校も該当します。
卒業後3年以内の既卒も新卒扱いとする国の方針がありますが、あくまでも扱いであって、純粋な新卒ではありません。
採用選考における新卒の意味は厳密には異なる
大学3年・4年での就活で用いられる新卒は、新規卒業見込者という意味です。
求人要項の応募資格欄で、「202x年3月に卒業見込の方」と記載されるのがそれにあたります。
新卒の別の呼び方
卒業の年度が2021年であれば、21卒と呼び、新卒という言葉を使わないで表現することがあります。
毎年4月に新卒が発生する
3月に大学などを卒業して、4月に企業へ入社する新卒が大量に発生します。
日本では年度の終わりが3月であるために、このような形になりますが、海外では企業の募集状況次第なので、入社時期はバラバラです。
日本も今後、ジョブ型雇用や通年採用の浸透によって、欧米のような採用に変化していくと思われます。
新卒の就職率
好景気と不景気で新卒の就職率は大きく変わります。
2000年代初頭はとても低い就職率
1993年から2005年はバブル崩壊の影響で、就職率がとても低い期間でした。
俗にいう就職氷河期世代はこの期間に卒業した人のことを指します。
特に、2003年の就職率は過去最低を記録し、55.1%しかありませんでした。(直前のピークは1991年の81.3%)
2012年からのアベノミクスで高い就職率に
2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災で一時的に就職氷河期になりましたが、2012年に再び自民党政権になり、アベノミクスで就職率がみるみる高くなっていきました。
2017年以降は70%台が続き、2019年度は78%(学校基本調査 年次統計)と、バブル崩壊前の水準に戻りました。
統計によって割合が違う
本記事で用いているのは、学校基本調査の年次統計の数字です。
これ以外には、一般職業紹介状況(職業安定業務統計)、大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況等調査(就職(内定)状況調査)があります。
国は、2013年から就職内定状況調査を用いるようになりましたが、数値が高く出て、本来の就職率ではないという指摘もあります。
既卒との違い
既卒との違いをまとめました。
卒業しているかいないか
就職活動をしている段階で見ると、新卒は卒業見込者になるため、卒業はまだしていない状態です。
しかし、既卒は既に学校を卒業してしまっています。
卒業後に就職しているかいないか
学校を卒業したという段階で見ると、新卒は学校を新たに卒業して入社してきた人です。
一方で、既卒は学校を既に卒業して、就職が決まっていない人になります。
同じ若年層でも扱いが違う
日本ではまだ新卒至上主義のようなところがあり、新卒であることが大きな意味を持ちます。
いわゆる新卒カードと呼ばれるものです。
ところが、既卒は在学中に内定を獲得できずに卒業して、未就職の人なので、評価が低いです。
国の方針で、卒業後3年以内は新卒扱いとなり、新卒と同等に扱う企業もあれば、建前だけの企業もあり、新卒と既卒にはまだ何かの差は存在します。
特に不景気になると、求人市場全体が縮小しますが、既卒→新卒→中途の順に求人が減っていくので、既卒よりも新卒の方が有利であると言えます。
新卒のメリット
新卒のメリットをまとめました。
新卒カードは強い
新卒と既卒は年齢ではほぼ差がないのに、新卒の方が就職に有利です。
既卒との違いでも述べましたが、これは新卒カードと呼ばれるもので、真っ新な状態であることに価値があるからです。
しかし、近年は30歳までは新卒も既卒も同じ土俵で扱う企業も出てきていて、ジョブ型雇用や通年採用が浸透していくことによって、新卒カードの価値も何れなくなっていくでしょう。
就活で様々な企業と接点が持てる
中途では志望企業の人と接点を持つ機会はあまりありません。
新卒だと、セミナーはもちろんのこと、OB・OG訪問やインターンシップなど志望企業・社員と接点を持てる機会が多数あります。
新卒のデメリット
新卒のデメリットをまとめました。
未経験なので不景気には経験者が優先される
不景気になると企業は採用を絞りますが、新卒や既卒の求人が真っ先に絞られます。
それでも、利益を上げていかないといけないので、即戦力となる経験者の方に採用を注力するようになります。
新卒は未経験なので、その点で不利です。
すぐに勤められない
新卒は内定を得ているという状態でも、在学中のため、すぐに勤められないというデメリットがあります。
9月卒業で入社が3月の場合も同様にすぐ勤められません。
ただし、アルバイトや契約社員という形で働く人はいるので、絶対ではありません。