就職氷河期世代(ロスジェネ世代)とは?原因・問題点・今後を解説

就職氷河期世代のイメージ 就職氷河期

就職氷河期世代とはどんな世代なのか、意味、発生原因、今後を解説しました。

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)の意味

1993年から2005年に大学などを卒業し、社会人になった人や、就職難で就職できなかったり、非正規になった人達の世代を指します。

西暦で言うと、1970年(昭和45年)から1984年(昭和59年)に生まれた人達で、2020年時点で35歳から50歳になります。

まさに失われた世代であることから、ロストジェネレーション世代(ロスジェネ世代)とも言われています。

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)が発生した原因

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)はなぜ発生したのか、その原因はバブル崩壊です。

バブル崩壊とは

1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月にかけて大幅な景気後退がありました。

これがいわるゆバブル崩壊で、1989年4月の消費増税や1990年3月の総量規制などの金融引き締めが失敗したことによって起こってしまいました。

さらに、1997年7月のアジア通貨危機では、金融機関の破綻が相次ぎ、銀行では日本長期信用銀行、北海道拓殖銀行、日本債券信用銀行、証券会社では山一證券、三洋証券が倒産しました。

当時の山一証券社長の「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから」というフレーズは話題になりました。

企業の採用絞り込み

このような状況下だったので、新卒は育成するはずなのが、即戦力を求める傾向に変わってしまい、企業の採用も絞りに絞られてしまいました。

加えて、就職氷河期世代は1700~2000万人いるといわれていて、1学年あたりの人数がコロナ世代よりも倍以上いました。

その結果、大学を卒業したにもかかわらず、大量に就職できない人が出てしまいました。

有効求人倍率という言葉を各メディアで目にすると思いますが、1993年から2005年の間は有効求人倍率が1を下回っていました。

これは、求職者1人あたりの求人数が1件もなかったことを指しており、非常に厳しい状況だったことが伺えます。

そんなことから、卒業延期制度を導入した大学もあり、いかに新卒というカードが重要であり、既卒になってしまうと困難であるかを物語っています。

なお、当時の高卒も影響があったと思われがちですが、専門学校や大学へ進学して、進路変更したため、大卒ほど影響はなかったと言われています。

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)が抱える問題点

就職氷河期世代は大きな問題を抱えています。

引きこもり

大学生の時の就活で、100社近く受けてどこにも相手にされず、アルバイトでさえ採用してもらえないことで、引きこもってしまった人や、中小零細企業でハラスメントを受けて、職を転々としているうちに引きこもってしまった人がいます。

単なる引きこもりだけでも、社会問題になっていますが、仕事がないために引きこもってしまったのは、精神的に相当なダメージを受けており、障害年金を受けている人もいます。

正社員になれない

1994年から非正規雇用の割合が増え始めて、2005年には1994年の2倍強にも達しました。(22.2→47.7%)

そこから、非正規の割合は高止まりしていて、正社員の数は減っています。

まともな職歴がないために、正社員になりたくてもなれないという問題があります。

職があっても低収入である

非正規雇用の場合は、雇用の調整弁として扱われてしまって、景気や会社の業績が悪くなると、すぐに契約を切られてしまいます。

まともな職歴が無いので、次の仕事が見つかったとしても給与アップは望めず、低収入のままです。

正社員でも、就職氷河期世代の場合は、中小零細企業に勤めていると、非正規並みの待遇に抑え込まれてしまっている人がいるため、低収入です。

このように、雇用形態に関わらず、低収入であるのが問題です。

結婚できない

非正規雇用者やニートは、家族を養うほどの収入がないため、結婚をしようと思ってもできません。

正社員として働いている就職氷河期世代でも、中小どころか零細企業にしか入れなかったため、非正規並みの給料しかもらえていない人もいます。そういう人も結婚という考えに至りません。

だから、単純に正社員になれれば、解決できる問題でもありません。

将来の生活保護受給者予備軍

このまま政府が何も対策をせずに、就職氷河期世代が60代になったら、お金、子供、持ち家のない人は生活保護を受給することになります。

全体でどれくらいの金額になるのかというと、生活扶助の部分だけでも、20兆円とも30兆円とも言われています。

60代になれば、健康を害する人もでてくるので、医療扶助が必要ですし、持ち家が無いので、住宅扶助も必要です。

もろもろ全て合わせると、国は30兆円どころではない出費を強いられます。

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)への国の支援策

国も将来の社会保障費増大で財政を圧迫するのを避けるために、重い腰をやっとあげて、対策を講じてきました。

ハローワーク・ジョブカフェを通じた支援

ハローワークや自治体が運営するジョブカフェでは、今般の就職氷河期支援をする前から、既卒・非正規の就職支援をしてはいます。

しかし、ハローワークに寄せられる求人は、給与・待遇面が非常に良くなく、ジョブカフェも東京以外はサービスの質が良いとは言えません。

国家公務員・地方公務員として採用

2019年末から国家公務員や地方公務員として、就職氷河期世代を採用する動きが出てきました。

宝塚市の募集では、倍率が400倍にも達して、就職氷河期当時を思わせる状況になったのは、話題になりました。

しかし、後に続く省庁や地上自治体の募集も採用人数が就職氷河期世代の人数から比べると、雀の涙ほどしかなく、一応支援はしたという実績作りではないかという指摘もあります。

民間企業による支援

本来であれば、民間企業も就職氷河期世代を採用するはずでした。

ところが、新型コロナウイルスの蔓延で、景況感が一気に悪化し、将来の業績が見通せなくなってしまいました。

新卒の募集を停止したり、内定取り消しも多数出ており、共同通信社のアンケートでは、102社中90社が採用の予定なしという結果が出ています。

そのため、就職氷河期世代の雇用に力を入れる状況ではなくなってしまいました。

就職氷河期世代(ロスジェネ世代)の今後

国は30万人の雇用を目指すとしていますが、新型コロナウイルスによる景気悪化で、非常に難しい目標となってしまいました。

国・地方自治体、一部民間企業が募集している求人も全体からすれば僅かなため、ほとんどの人は恩恵を受けられず、非正規のまま60代を迎えることになりそうです。

国のセーフティーネットに頼りたくない方は、今出ている募集に応募するか、個人でどうにかして正社員になるほかありません。

それでも、金銭面で問題は残っているので、資産運用や副業をして補うことをしましょう。